芝居の声が私に*[本]

芝居語り 渡辺えり子対話集

芝居語り 渡辺えり子対話集

渡辺えり子対話集「芝居語り」を
大事に大事にちょっとずつ読んで


それぞれの俳優の俳優らしい
受け容れる言葉、少女のような
言葉に感応する。
渡辺えり子も。芝居の好きな
女の子のまま現場で生きている。


書く言葉について思うとき、
ものごとをすっきりといいかたちで伝える言葉を、
気に障ったり、どこかで止まったりしない
すっきりしたゆるやかなタイトな言葉で表現したい
と思う。


役者の言葉は独特だ。
心地よく耳に届く訓練を
受けた音。


いれものとしての自分を
衒わずに表す言葉。


そして肉体的である。


よく思われたい、さらけだしたい
などの手前の欲望をこえて
あるがままに立って表現する、


生きることが演劇、な人々


それが私はとてもすきだったんだ
と気づく。


自分が演じることではなくて


その目撃者でありたい


その助手でありたい


その世界を一緒に
生きたい思いが
あった。


役者ってすごい、尊敬する
そんな言葉ではなく


役者の近くで、溺れ
客観し、決して役者に
なることはなく



その姿をしっかりと
見つめていたかった。