若くはないっていうことは*[本]

バカみたいなのはわかってるけどバカみたいに
重ねていく年齢のことを気にしていた時期も過ぎて
やっぱり中身はそのままだと安心し、無用に
というより自ら確信犯的に、ひとの言う無意識の言葉に
傷つけられることもなくなってきた。
一つは非常に女の子じみた外観的な変化、
そして立場・役割的な変化の中でなすべきことから逃れて
いるという思いなどなどの。


キスで作ったネックレス―ウィーツィ・バット ブックス (創元推理文庫)

キスで作ったネックレス―ウィーツィ・バット ブックス (創元推理文庫)

ウィーツィが「わたしのこと、知っているのかしら」ときくと
ヘヴンは「お客さんにそう思わせるのがわたしの仕事よ」と答えた。

ヘブンの悲しみと優しさに満ちた声がうたうバラードは
まるでウィーツィの物語のようだった。

キュートでおしゃれでパンクで愛に満ち溢れたウィーツィの物語シリーズ
最新刊。
ウィーツィも年を重ねて、20年間、はしごのように体をのぼりあったり
キスで地震さえ起こしてきたマイ・シークレット・エージェント・ラヴァーマン
(理想どおりの最愛の人)との間になくなってしまったキスを探して、
スーツケースに荷物をつめて、一人家を出る。

そこで起こる魔法のような出来事や出会った普通じゃない人たち。

相変わらず、ファッションや食べものなんかのPOPなカラーにいろどられた
おとぎ話の世界は、その繊細な感性で現実世界の暗さと取って替わられ
そうな均衡の中できらめいている。いつもこの世界をリードしてきた
ウィーツィの言葉も、とてもリアルに痛みと甘さを感じさせる。
ウィーツィの物語はまた、私と私たちの物語でもある。


そしてあるバンドに起こったメンバー脱退に対するリーダーのこの言葉に
涙が止まらなかった。

もしキミが若者で、この話を読んで「勿体無い」とか「パンチねぇ」とか思うんだったら、
それは間違っている。歳を取ると、若い時には考えもしなかったような思考をするようになるのだ。
誰だってそうなる。これはキミの頭の片隅に置いておいて損は無い。

もう、ハタチそこそこではない、家庭を持った大人が好きなことややりたいことを
続けるために、その人自身が選ばなければいけないことがある。
そしてそれは挫折でも断絶でもない。

年を重ねたから理解できることがあって、それは深い共感とつながりを感じさせてくれる。
若い人たちへのこんな役割・メッセージをさらりとやってくれることに脱帽。


私もそんな風に示してあげられるかな?大人の楽しみを。